VUCAな時代の施設運営とは
あなたは、「VUCA」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
VUCA(ブカ,ブーカ)はビジネス用語。
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べたアクロニム(頭字語)。
1990年代後半にアメリカ合衆国で軍事用語として発生したが、2010年代になってビジネスの業界でも使われるようになった。「今はVUCAの世界になった」というような文脈で使われることも多い。
VUCAへの有効な対応方法としてOODAループがある。状態は安定状態から、事態が未知か既知か、そして行動の効果が予測可能か不能かの条件に従いVUCAの状態を構造的に分析して、有効な対応をする戦略をとる。これをVUCAフレームワークという。
OODAループは、元々は軍事行動における指揮官の意思決定を対象としていたが、後にこれに留まらず、官民を問わずあらゆる個人の生活、人生ならびに組織経営等において生起する競争・紛争等に生き残り、打ち勝ち、さらに反映していくためのドクトリン(基本原則)、そして創造的行動哲学となった。
OODAループは、観察(Observe)– 情勢への適応(Orient)– 意思決定(Decide)– 行動(Act)– ループ(Implicit Guidance & Control, Feedforward / Feedback Loop)によって、健全な意思決定を実現するというものであり、理論の名称は、これらの頭文字から命名されている。
―それぞれ、Wikipediaより引用。
特に今年に入り、この新型コロナウィルス騒動となり、各病院や高齢者施設では、対策に追われていることと思う。地域によっては、本当に大変なことだろう。
このコロナ騒ぎになる直前だったか、支援先の施設にて、今後の時代感についてお話しさせて頂いた。
内容的には、私たちを取り巻く様々なリスクの脅威を常に念頭に置きながら運営していかなければならない、ということである。奇しくも、そのようになってしまった、ということだ。
私自身がこのような考え方に変わっていったのは、やはり2011年の東日本大震災が大きかった。
またそれ以降、日本各地において、地震や台風などの甚大な被害が相次ぎ、世の中というものが大きく変わってきていることを認識せざるを得なかったのだ。
その中でよく言われる、「想定外の」「何十年に1度の」といった決まり文句。いやつまり、想定外のことが普通に起こってしまう時代になったのだな、と思ったのだ。
リスクといっても天変地異ばかりでなく、例えば情報漏洩やサイバーテロ、経営破綻、暴力などの不適切な介護、等など、まさかありえないだろう、といったことが時として起こりえるのだ。

なにせ、この医療・介護という仕事は、そこに患者さんや利用者さんを預かっていての仕事。職員にだって家族があるのに、大変な最中、それを犠牲にして仕事に従事しなくてはいけないという、特殊な仕事なのである。
そういったことに対して、様々なリスクマニュアルもそうなのだが、中小企業庁では、このようにBCPを推奨している。ぜひあなたの施設でも、このBCPを普段から(教育の一環として)整備されることをお勧めしたい。
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
緊急事態は突然発生します。有効な手を打つことがきでなければ、特に中小企業は、経営基盤の脆弱なため、廃業に追い込まれるおそれがあります。また、事業を縮小し従業員を解雇しなければならない状況も考えられます。
緊急時に倒産や事業縮小を余儀なくされないためには、平常時からBCPを周到に準備しておき、緊急時に事業の継続・早期復旧を図ることが重要となります。こうした企業は、顧客の信用を維持し、市場関係者から高い評価を受けることとなり、株主にとって企業価値の維持・向上につながるのです。
BCPで特徴的なのは、まずは職員の人命や安全を第一に考えていることである。
つまり、私たちは利用者に対して介護サービスを提供する事業体です、ということだけでなく、車の両輪として、想定しないようなリスクも想定に入れて、運営・教育していかなくてはいけない、ということだ。
何せ、これまでのセオリー、これまでの経験則が通用しない時代。それが教育にもコーチングが必須だ、と言われる所以であるが、肝心の教える側が、そのように柔軟に考え方を切り替えることができるか。
ここまで意識を配ることが、お客様を守り、職員を守り、ひいては経営を守ることに繋がる。そして、地域において、「私たちは一段階見てるところが違うんですよ」とアピールすることにも繋がるのだ。

何とも大変な時代になったが、そう憂いてばかりもいられない。対岸の火事なんて意識でいるとある日突然、自分たちに順番が回ってくるかもしれない。今準備出来る時に備えておこう。
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